神戸花嫁道中

少し昔のお話。 開港後の神戸には、新たに移住し暮らしている様々な人がいた。

そのうちの 1 人、近所でも器量良しで有名な娘が ある日嫁に行くことになる。 お相手は稲荷神社の近くに住む、代々神戸に暮らす スラッと背の高い青年。 誰もが羨む美男美女の結婚である。

花嫁支度を済ませた花嫁は、 大勢の迎えの者と共に花嫁行列にて嫁入りを行う。 お祝いの華やかさと、キリッとした神聖さが 神戸の街では噂になり、多くの人がそれを見物にやってきた。

行列を終え、お色直しをするとより一層花嫁は美しく輝いた。そして、三献の儀の際、 なんと花婿に尻尾があることに気づく。
花嫁は狐に騙され、嫁に行くところだったのだ。
見破ったのは見物していた土蜘蛛の化身。 その土蜘蛛が、花嫁を狐から守ろうと格闘し退治をする。 花嫁は危機一髪で狐への嫁入りを免れる。
騙されずに済んだことを喜ぶ宴は、 多くの人を楽しませた。